【図解でわかる】VDSLと光配線方式の違い|仕組み・構造をやさしく解説
「光回線でも遅い…」その理由、VDSLかもしれません。
この記事では、VDSLと光配線方式の仕組み・速度差を図解でまとめました。どちらが速く、なぜ差が出るのかを“見て理解できる”内容になっています。

1. VDSLとは?光配線方式とは?

1-1. まずは簡単にまとめると
どちらも「光回線」と呼ばれることがありますが、家の中まで光ファイバーが来ているかどうかが大きな違いです。
光配線方式は“はじめから終わりまで光の道”、
VDSL方式は“途中まで光の道、最後が電気の道”です。
1-2. VDSLとは?
VDSL(Very high-bit-rate Digital Subscriber Line)は、マンションなどの共有部分まで光ファイバーが来ていて、そこから部屋までは電話線でつなぐ方式です。
たとえるなら――
「高速道路(光ファイバー)を走ってきた車が、マンションの入口でいったん降りて、そこから細い住宅街の道(電話線)を通って部屋まで行く」ようなものです。
この“細い道”の部分でスピードが落ちるため、
通信速度は最大でも100Mbps前後に制限されることが多いです。
ただし、工事が簡単で費用が安いため、古いマンションやアパートではよく使われています。
1-3. 光配線方式(FTTH)とは?
光配線方式(FTTH:Fiber To The Home)は、家の中まで光ファイバーが直接つながっている方式です。
たとえるなら――
「高速道路(光ファイバー)が家の玄関まで続いていて、そのまま自分の部屋に入ってくる」イメージです。
途中で“細い道”に変わらないので、スピードが落ちにくく、最大1Gbps〜10Gbpsととても速く通信できます。
光ファイバーは“光の信号”でデータを送るため、
ノイズ(電気のゆらぎ)や距離の影響をほとんど受けません。
そのため、動画配信・オンライン授業・ゲームなどでも安定しています。
1-4. ちがいを一目で見ると…
| 項目 | VDSL方式 | 光配線方式(FTTH) |
|---|---|---|
| 通信経路 | 光ファイバー+電話線 | 光ファイバーのみ |
| 回線が届く場所 | 建物の共有部まで光 | 部屋の中まで光 |
| 最大速度(目安) | 約100Mbps前後 | 1Gbps〜10Gbps |
| 安定性 | 低め(ノイズの影響あり) | 高い(ノイズに強い) |
| 設置費用 | 比較的安い | 少し高めだが長期的に有利 |
| よくある場所 | 古いマンション・アパート | 新築マンション・戸建て |
まとめ:名前は似ていても“中身”はちがう
「光回線」と聞くと、どれも同じように思えますが、
実は中の配線方式で速度や安定性がまったく変わります。
- VDSLは「途中から電話線」
- 光配線方式は「最後まで光ファイバー」
この違いを知っておくだけで、
「なんでうちは遅いの?」という疑問がスッキリします。
2. 図でわかるVDSLと光配線方式の仕組み

2-1. まず全体のイメージ
インターネットの信号は、「光ファイバー」という細いガラスの糸を通って家まで届きます。
この“どこまで光ファイバーが来ているか”で、VDSL方式か光配線方式かが決まります。
2-2. 建物内でのつながり方を図で見ると…

| 区間 | VDSL方式 | 光配線方式(FTTH) |
|---|---|---|
| 外(道路の下) | 光ファイバー | 光ファイバー |
| 建物の共用部 | 光ファイバー+VDSL装置 | 光ファイバー |
| 各部屋まで | 電話線(銅線) | 光ファイバー |
たったこれだけの違いですが、
最後の「各部屋まで」の線が電話線か光ファイバーかで、速度が大きく変わります。
2-3. VDSL方式と光配線方式のちがい
VDSL方式のイメージ
マンションの外までは“高速道路(光ファイバー)”で超スピード。
でも、建物の中に入ると“住宅街の細い道(電話線)”に変わります。
たくさんの人が同じ細い道を使うと、スピードが落ちて渋滞します。
光配線方式のイメージ
こちらは“玄関まで高速道路(光ファイバー)が続いている”タイプ。
途中で細い道に変わらないから、スピードが落ちずに安定しています。
雨や電気のノイズにも強く、いつでもスイスイつながります。
2-4. 信号の伝わり方のちがい
(図②:信号経路の比較「光→銅線」)

- VDSL方式:途中で「光信号 → 電気信号」に変換して伝える
→ ノイズの影響を受けやすく、距離が長くなると遅くなる - 光配線方式:最後まで「光信号」のまま伝える
→ ノイズが少なく、長い距離でも速度が落ちにくい
ポイント
光信号は“光の速さ”で進むため、
途中で電気信号に変える必要がない光配線方式の方が理論的にも有利です。
2-5. 速度のイメージ(棒グラフにできる内容)
| 回線方式 | 理論上の最大速度 | 実測の平均速度(全国平均) |
|---|---|---|
| VDSL方式 | 約100Mbps前後 | 約50〜80Mbps |
| 光配線方式 | 1〜10Gbps | 約300〜800Mbps |
※実測値は環境や契約プランによって異なります
まとめ:道の太さがちがうだけで、速さが変わる
- VDSLは「途中で細い道に変わる」方式
- 光配線方式は「ずっと広い高速道路のまま」
この違いが、同じ“光回線”でも速度がちがう理由です。
3. なぜVDSLは遅くなるのか

3-1. ポイントをひとことで
VDSLが遅くなる理由は、光ファイバーが途中で「電話線」に変わるからです。
この「電話線(銅線)」の部分が、通信のボトルネック(つまり細い道)になっています。
3-2. 仕組みのちがいをおさらい
- 光ファイバー:光の信号でデータを運ぶ
- 電話線(銅線):電気の信号でデータを運ぶ
光の信号はスピードが速く、遠くまで届きます。
でも電気信号は、距離が長くなるほど弱まりやすいんです。
つまり、VDSLでは「マンションの共用部 → 自分の部屋まで」の間に、
信号が弱くなってしまう仕組みなのです。
3-3. 理由①:電話線は“ノイズ”の影響を受けやすい

電話線は電気を通すため、周りの電気製品やケーブルから出る電磁波ノイズの影響を受けます。
このノイズが入ると信号が乱れ、データを再送することになり、速度が下がる原因になります。
たとえば:
- 電子レンジや掃除機の近く
- 電源タップや延長コードと重なっている部分
こうした環境ではノイズが増え、速度が不安定になりやすいです。
3-4. 理由②:同じ装置をみんなで使っている

VDSLでは、マンションの共有部にある「VDSL装置(VDSLモデム)」を、
住民全員で分け合って使っています。
夜の時間帯など、みんなが同時にネットを使うと、
1本の道に車が集中してしまい、渋滞(速度低下)が起きるのです。
これがいわゆる「混雑による遅延」。
特に動画やゲームを同時に使う世帯が多いと、影響が大きくなります。
3-5. 理由③:距離が長いと速度が落ちる
VDSLの通信は「電話線区間の長さ」に大きく影響します。
長ければ長いほど信号が弱くなり、エラーが増えて再送が発生。
結果として、体感速度がどんどん遅くなってしまいます。
たとえば:
- 共有部から部屋までが20mならまだ速い
- でも、100m以上になると大きく速度が低下
同じマンション内でも、部屋の位置によってスピードが違うことがあります。
3-6. 理由④:上限が100Mbpsで頭打ち
VDSLは技術的に最大約100Mbpsまでしか出せない方式です。
光配線方式が1Gbps(=1000Mbps)以上に対応しているのと比べると、
「根本的に伸びしろがない」仕組みになっています。
これが「光回線を契約しているのに速くない」という誤解の原因にもなっています。
(正確には“光回線”だけど、“VDSL方式の光回線”)
3-7. 小まとめ:VDSLが遅くなる3つのしくみ
| 原因 | 内容 | たとえ |
|---|---|---|
| ノイズの影響 | 電気信号が周囲の電磁波で乱れる | 車道に落ち葉が積もる |
| 利用の集中 | みんなで同じ装置を使う | 渋滞する交差点 |
| 距離の長さ | 信号が弱まり、再送が発生 | 長い坂道でスピードダウン |
まとめ:途中の“電話線”が遅さのカギ
- VDSLは「途中にある電話線」が速度の制限ポイント
- 光配線方式は「最後まで光ファイバー」で安定・高速
- つまり、“道の太さ”と“信号の種類”が決定的なちがいです。
この仕組みを知っておくと、
「同じ光回線なのにどうして速さが違うの?」という疑問がすぐに解けます。
4. 自宅の配線方式を確認する方法

4-1. まずは結論!
「うちはVDSL?それとも光配線?」は、
壁の端子・機器の名前・契約書を見るだけで簡単にわかります。
それぞれ順に見ていきましょう!
4-2. 方法①:壁の端子をチェックしよう

壁についている「ネット回線の差込口(コンセントのような穴)」を見てみましょう。
形でだいたい判断できます。
| 端子の見た目 | 配線方式 | 特徴 |
|---|---|---|
| 電話線のような小さい差込口(モジュラージャック) | VDSL方式 | 「TEL」や「モジュラー」などの刻印があることが多い |
| 少し大きめの四角い差込口(LANポート型) | 光配線方式(FTTH) | 「光」「LAN」などの刻印がある/角がカクっとしている |
見分け方ポイント
- モジュラージャックなら「電話線(=VDSL)」
- LANポートなら「光ファイバー(=光配線方式)」
4-3. 方法②:通信機器のラベルを確認

ネットをつなぐときに使う機器(モデムやONU)に注目しましょう。
本体に貼られているシールにヒントが書かれています。
| ラベル表記 | 配線方式 | 補足 |
|---|---|---|
| 「VDSL」や「VDSL MODEM」 | VDSL方式 | 共有部のVDSL装置から電話線で接続している |
| 「ONU」や「光端末装置」 | 光配線方式 | 光ファイバーを直接宅内に引き込んでいる |
機器の裏や底面に書かれているので、そっと確認してみましょう。
4-4. 方法③:契約書・マイページをチェック
契約しているプロバイダ(例:ドコモ光、ソフトバンク光など)の
「契約内容」や「接続方式」の欄を見てみましょう。
- 「VDSL方式」「マンションタイプ(VDSL)」と書かれていれば → VDSL
- 「光配線方式」「ホームタイプ」「ファミリータイプ」と書かれていれば → 光配線方式
特にマンションでは「光配線方式」「VDSL方式」「LAN配線方式」の3種類があるので、
“マンションタイプ=必ずVDSL”とは限らない点にも注意です。
4-5. 方法④:マンションの共有設備で確認
マンションの1階や共用部に「VDSL装置」と書かれた箱が設置されていれば、
その建物はVDSL方式です。
逆に、「光配線方式対応」と掲示されていれば、
部屋まで光ファイバーが来ている可能性が高いです。
管理会社や大家さんに「うちのマンションはどの配線方式ですか?」と聞くのも確実です。
4-6. チェックリスト:あなたの家はどっち?
| 質問 | はい | いいえ |
|---|---|---|
| 壁の差込口が“電話線の形(細長い)”になっている | □ | □ |
| モデムに「VDSL」と書かれている | □ | □ |
| 契約書に「マンションタイプ(VDSL)」と書かれている | □ | □ |
| 夜になるとネットが急に遅くなる | □ | □ |
| 管理室に「VDSL装置」が設置されている | □ | □ |
3つ以上「はい」があれば、ほぼVDSL方式です!
4-7. ワンポイントアドバイス
もしVDSL方式だった場合でも、建物が光配線方式に対応していれば切り替え可能です。
その場合はプロバイダや管理会社に「光配線方式に変更できますか?」と確認してみましょう。
工事は1〜2時間ほどで終わることも多く、速度が大きく改善するケースがあります。
まとめ:確認すれば“遅さの理由”がわかる
- 壁の差込口・機器・契約書を見るだけで方式が判別できる
- 「VDSL」と書かれていれば、途中が電話線になっているサイン
- 「光配線方式」なら、部屋まで光が来ていて高速・安定
まずは身近な場所から確認してみることが、改善の第一歩です!
5. 学び要約・引用ポイント(転載歓迎)

5-1. この章の目的
ここでは、記事全体の内容を客観的・要約形式で整理します。
他サイトでの引用・転載・埋め込みがしやすいように、
表と要点をシンプルにまとめました。
5-2. 配線方式のちがいまとめ
| 項目 | VDSL方式 | 光配線方式(FTTH) |
|---|---|---|
| 通信経路 | 途中まで光ファイバー+電話線 | 最後まで光ファイバー |
| 信号の種類 | 光信号 → 電気信号に変換 | 光信号のまま伝送 |
| 最大速度(理論値) | 約100Mbps | 1Gbps〜10Gbps |
| 安定性 | ノイズや距離の影響を受けやすい | ノイズに強く安定 |
| 主な利用環境 | 古いマンション・アパート | 新築マンション・戸建て |
| 利用者の印象 | 「夜になると遅い」ことが多い | 「一日中安定して速い」 |
5-3. 要点を3行でおさらい
- VDSLは途中が「電話線」になる方式で、速度が落ちやすい。
- 光配線方式は部屋まで光ファイバーが来ていて、速く安定している。
- 壁の端子・機器・契約書を見るだけで、自宅の方式を簡単に確認できる。
5-4. 理解のポイント
- 「VDSL=途中で光が電気に変わる」
- 「光配線方式=光が玄関まで届く」
- 「同じ“光回線”でも、配線方式が違うだけで速度は10倍以上変わる」
- 「建物の構造が“通信の速さ”を決める」
5-5. 最後に
“同じ光回線なのに遅い”という悩みの多くは、実は配線方式の違いから生まれています。
この記事が、あなたの通信環境を見直すヒントになれば幸いです。
図表やまとめの転載・引用は大歓迎です!
「出典:つながるラボ」と明記のうえ、正しい情報発信にお役立てください。
6. まとめ|配線方式を理解すると“速度の理由”がわかる

6-1. いちばん大切なポイント
「光回線なのに遅い…」と感じるとき、
その原因の多くは“配線方式”の違いにあります。
- VDSLは、途中で電話線(銅線)に変わるため、速度が落ちやすい
- 光配線方式は、家の中まで光ファイバーが届くため、速くて安定
同じ「光回線」という名前でも、中身の構造がまったく違うのです。
6-2. この記事で学べること(おさらい)
| 内容 | まとめ |
|---|---|
| VDSLとは? | 共用部から部屋までは“電話線”でつなぐ方式。古い建物に多い。 |
| 光配線方式とは? | 家の中まで“光ファイバー”で届く方式。新築や戸建てに多い。 |
| 違いの理由 | 光→電気への変換で信号が弱まり、速度に差が出る。 |
| 見分け方 | 壁の端子・機器ラベル・契約書を見れば判別できる。 |
| 改善策 | 管理会社やプロバイダに「光配線方式に変更できるか」を確認。 |
6-3. 配線方式を理解すると、回線選びが変わる
今後、引っ越しや回線契約をするときは、
「光配線方式に対応している建物かどうか」を確認するだけで、
ストレスのない通信環境を選びやすくなります。
インターネットの速さは「契約プラン」よりも、
建物内の配線方式で決まることを、ぜひ覚えておきましょう。
6-4. 関連記事(内部リンク導線)
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→ ノイズ・混雑・距離の問題をくわしく解説。
- 📡 光配線方式への切り替え手順と費用まとめ(後日アップ予定)
→ 実際に光配線方式へ変更する流れを紹介。
これらの記事を読めば、「遅い回線」から「速く安定した回線」へ一歩進めます。
6-5. ラストメッセージ
配線方式を理解することは、
ただ“速くするため”だけでなく、
「なぜ遅いのか」を自分で判断できる力を持つことでもあります。
あなたの通信環境が今日より少しでも快適になりますように。
そして、この記事の図や表が誰かの理解の助けになれば嬉しいです。

