IPv6とIPoEの違いを図解で解説!ネットが速くなる理由がスッキリわかる
「夜になるとネットが遅い…」「動画が止まってイライラする…」
そんな経験、ありませんか?
実は、通信の速さを決めているのは回線の種類だけではありません。
その裏には、「PPPoE」と「IPoE」というネットへの通り道の違いがあり、
この仕組みを理解すると、“なぜ自分の回線が遅いのか”がはっきり見えてきます。
この記事では、専門用語をできるだけ使わずに、
「IPv4」と「IPv6」といった用語の意味もあわせて図解でやさしく整理します。
読めば、VDSL回線で起きる“夜の遅さ”の理由が自然とわかるはずです。

1. ネットが遅い理由は“通り道の違い”にある

「夜になるとネットが遅くなる…」「動画が止まってイライラする…」
そんな経験はありませんか?
実はその原因、インターネットの“通り道”にあります。
車が道路を走るように、ネットのデータも決まったルートを通って流れているのです。
この“通り道の作り方”には、PPPoE(ピーピーピー・オー・イー) と IPoE(アイピー・オー・イー) という2つの方式があります。
この違いが、夜になると遅くなる人と、いつでも速い人の分かれ目なんです。
旧式の道:PPPoE(料金所がある道路)
PPPoEは、昔から使われている接続方式です。
みんなが同じ「料金所(通信の中継装置)」を通ってインターネットへ出ていきます。
利用者が少ない昼間はスムーズですが、夜になると車(データ)が集中して渋滞。
これが「夜だけ遅くなる」最大の原因です。
新しい道:IPoE(バイパスのような道路)
一方、IPoEは新しい接続方式。
料金所を通らずに、直接インターネットの“広いバイパス”へ出られる仕組みです。
そのため混雑を避けられ、夜でもスムーズに通信できます。
最近の光回線やVDSL対応サービスでは、このIPoE方式を採用しているところが増えています。
.jpg)
ここで出てくる「IPv4」と「IPv6」は何?
PPPoEやIPoEというのは“通り道”の話でした。
それに対して「IPv4」「IPv6」というのは、データの住所(アドレスの書き方)の話です。
新しい住所ルールである「IPv6」は、混雑しにくいIPoEの道路を走れるように設計されています。
つまり――
- IPv4=古い住所で、古い道路(PPPoE)を走る
- IPv6=新しい住所で、新しい道路(IPoE)を走る
という関係なのです。
まとめ
- PPPoEとIPoEは「ネットの通り道(接続方式)」の違い
- IPv4とIPv6は「住所(IPアドレスの書き方)」の違い
- 現在の一般的な環境では「IPv4+PPPoE」「IPv6+IPoE」がセットで使われている
次の章では、旧方式PPPoE(IPv4で使われることが多い)がなぜ混雑するのか、
「料金所のある道路」というたとえでさらに詳しく見ていきましょう。
2. PPPoEは“料金所のある道路”のような仕組み

インターネットの世界を「道路」にたとえると、
あなたの家のパソコンやスマホは“車”のようなものです。
ネットを使うときは、データという荷物を道路にのせて、
目的地(YouTubeやLINEなど)まで運んでいます。
このとき、昔から使われている接続方式が PPPoE(ピーピーピー・オー・イー) です。
PPPoEは、みんなが同じ料金所を通ってインターネットに出ていく仕組みなんです。
混雑の原因は「網終端装置(もうしゅうたんそうち)」
料金所のような役割をしているのが、
「網終端装置(もうしゅうたんそうち)」という機械です。
ここを通らないと、どんな通信も外のインターネットへ出られません。
昼間は車(通信量)が少なくスムーズですが、
夜になると動画を見たりゲームをしたりする人が増えて大渋滞!
この網終端装置が混むことで、あなたの家の通信速度も落ちてしまうのです。
マンション(VDSL)ではさらに混みやすい
とくに、マンションなどで「VDSL方式」を使っている場合は注意が必要です。
建物全体で1本の光回線を共有し、そこから電話線に分けて各部屋に届けているため、
同じ料金所を通る車(通信)が一気に集中してしまうのです。
つまり――
夜になるとネットが遅いのは、あなたの家の問題ではなく、
同じ道路を共有している“建物全体”で混んでいることが多いのです。
どうして古い仕組みが今も使われているの?
PPPoEは昔からの規格で、どんなプロバイダでも対応しているため、
今でも多くの人が使っています。
ただ、設計が古く、一か所(料金所)に負担が集中するという欠点があります。
この問題を解決するために生まれたのが、次の章で紹介する IPoE方式 です。
IPoEではこの“料金所”を通らず、混まないバイパス道路を使うことができます。
まとめ
- PPPoEは「料金所のある道路」のような接続方式
- 夜になると利用者が増え、網終端装置で通信が渋滞
- VDSLなどのマンション回線では、特に混雑しやすい
- 古い仕組みのため、いまでも多くの人が使っているが“速度の壁”がある
次の章では、この問題を解決する新しい仕組み――
IPoE(アイピー・オー・イー)方式をわかりやすく説明していきましょう。
“料金所のない新しいバイパス道路”とは、どんな仕組みなのでしょうか?
3. IPoEは“料金所を通らないバイパス道路”のような仕組み

前の章でお話ししたとおり、PPPoEは「料金所がある道路」でしたね。
夜になるとそこが混んでしまい、通信が遅くなる原因になります。
その不便を解消するために登場したのが、IPoE(アイピー・オー・イー)という新しい接続方式です。
これはいわば、“料金所を通らないバイパス道路”のような仕組みです。
料金所を通らずスイスイ進める
IPoEでは、PPPoEのように「網終端装置(もうしゅうたんそうち)」を通りません。
つまり、混み合う場所を最初から避けて、直接インターネットの広い道につながるようになっています。
このため、夜でも動画が止まりにくく、リモート会議やゲームもスムーズ。
「いつでも速い」と感じる人の多くは、このIPoE方式を使っています。
IPv6と組み合わせるとさらに快適に
このIPoE方式は、新しい通信の仕組み「IPv6」ととても相性がいいです。
IPv6は“新しい住所(アドレスの書き方)”のルールで、
IPoEという“新しい道路”を自然に使えるように設計されています。
そのため、プロバイダが提供する「v6プラス」や「IPv6オプション」などのサービスは、
IPv6+IPoE の組み合わせを使っていることが多いのです。
IPv6が使えないサイトも大丈夫

「でも、IPv6にしたら古いサイトが見られなくなるの?」と心配になる方もいます。
実は大丈夫です。
IPoEでは「IPv4 over IPv6」という仕組みを使い、
古い住所(IPv4)で作られたサイトも、新しい道(IPv6のIPoE)にのせて通信できます。
つまり、IPoEは新しい道だけど、古い住所の荷物も運べる便利なトラックなんです。
まとめ:IPoEは“混まない新しい道”
- IPoEは、料金所を通らない“新しい道路”のような接続方式
- 混雑を避けて夜でもスムーズに通信できる
- IPv6と組み合わせることで、より快適で安定した通信が可能
- IPv4のサイトも「IPv4 over IPv6」で問題なくアクセスできる
次の章では、ここまでの話を一度整理し、
PPPoEとIPoEの違いを表で比較してみましょう。
“古い道路”と“新しい道路”の差が、ひと目でわかるようになります。
4. PPPoEとIPoEの違いを表で整理

ここまでで、PPPoEは「料金所がある古い道路」、
IPoEは「料金所を通らないバイパス道路」というイメージがつかめてきましたね。
では実際に、どんな点が違うのかを比べてみましょう。
下の表を見ると、PPPoEとIPoEの仕組みの差が一目でわかります。
PPPoEとIPoEのちがい一覧表
| 比較項目 | PPPoE(旧方式) | IPoE(新方式) |
|---|---|---|
| 通信経路の仕組み | 網終端装置(料金所)を通る | 網終端装置を通らず直接つながる |
| イメージ | 一般道(混みやすい) | バイパス道路(スムーズ) |
| 混雑の起きやすさ | 高い(特に夜間) | 低い(混みにくい) |
| 通信速度 | 利用者が増えると遅くなる | 安定して速い傾向 |
| 対応プロバイダ | すべて対応(古くからの方式) | IPv6対応プロバイダのみ利用可能 |
| 必要な機器 | どのルーターでもOK | IPv6/IPoE対応ルーターが必要 |
| 主な利用例 | IPv4接続が中心 | IPv6接続が中心(v6プラスなど) |
補足:どちらが「速い」と感じるのか?
「速い・遅い」は“回線の種類”だけでなく、“接続方式”にも大きく左右されます。
つまり、同じ光回線を使っていても――
- PPPoE接続のままでは混雑しやすく遅い
- IPoE接続に切り替えると、同じ回線でもスムーズ
というように、接続方式を変えるだけで速度が大きく変わることがあるのです。
IPv4・IPv6との関係をおさらい
ここで整理しておくと、
- IPv4/IPv6 … データの「住所(アドレス)」
- PPPoE/IPoE … インターネットへの「通り道(接続方式)」
そして、今の一般的な環境ではこういう組み合わせになっています
| 住所(通信方式) | 通り道(接続方式) | 備考 |
|---|---|---|
| IPv4 | PPPoE | 古い仕組み・混みやすい |
| IPv6 | IPoE | 新しい仕組み・混みにくい |
| IPv4 over IPv6 | IPoE | IPv6の道にIPv4をのせて通信 |
まとめ
- PPPoEとIPoEの最大の違いは「混雑ポイント(料金所)の有無」
- IPoEはバイパスのように直接インターネットへつながるため、速くて安定
- IPv6対応の環境では、ほとんどがIPoE方式を採用している
次の章では、IPv6(IPoE)を使えるかどうかを確認する方法を紹介します。
「自分の家の回線がどちらの方式なのか」を、かんたんにチェックしてみましょう!
5. IPv6対応ルーター・プロバイダの確認方法


「IPv6(IPoE)が速いのはわかったけれど、うちの回線でも使えるの?」
――そう思ったら、まずは今の環境を確認してみましょう。
IPv6を使えるかどうかは、
①プロバイダ(契約先)と ②ルーター(機械)の2つで決まります。
順番にチェックしていきましょう!
5-1. Step①:プロバイダがIPv6 IPoEに対応しているか確認
あなたが契約しているプロバイダ(通信会社)が、
IPv6(IPoE)に対応しているかを調べましょう。
公式サイトや会員ページで、「IPv6」「v6プラス」「IPoE対応」などの記載を探します。
もしこの言葉があれば、すでにIPv6 IPoEのサービスを使える可能性があります。
例:
- 「OCNバーチャルコネクト対応」 → IPv6 IPoE OK
- 「v6プラス対応」 → IPv6 IPoE OK
- 「PPPoEのみ対応」 → IPv4(旧方式)のまま
多くのプロバイダは無料または申込だけでIPv6が有効になります。
まずは契約先のサイトをチェックしてみましょう。
5-2. Step②:ルーターがIPv6 IPoE対応か確認
次に、自宅で使っているWi-Fiルーターを確認します。
ルーターの本体や箱に「IPv6対応」「v6プラス対応」などのシールが貼られていませんか?
これがあれば、IPoE方式に対応しています。
もし見つからない場合は、ルーターの設定画面にアクセスしてみましょう。
スマホやパソコンでブラウザを開き、アドレスバーに「192.168.0.1」や「192.168.1.1」と入力します。
ログイン後に「IPv6設定」「IPoE設定」などの項目があればOKです。
もし古いルーターで非対応だった場合
→ 「IPv6対応ルーター(v6プラス対応)」に買い替えるだけで改善することがあります。
2025年現在でも、一部のプロバイダはIPv6 IPoEがオプション扱いのことがあります。
また、古いWi-FiルーターではIPv6やIPoEに非対応の機種も残っています。
契約先とルーターの両方が対応していないと、IPv6通信は有効にならないため、
まずはサポートページなどで対応状況を確認してみましょう。
5-3. Step③:自分の通信がIPv6でつながっているか確認
最後に、実際に今の通信がIPv6で動いているかをチェックしましょう。
以下のテストサイトにアクセスします:
画面に「あなたはIPv6で接続しています」と表示されればOK!
「IPv4で接続中」と出た場合は、まだ旧方式(PPPoE)のままです。

確認ポイントまとめ
| チェック項目 | 確認方法 | IPv6(IPoE)が使える条件 |
|---|---|---|
| プロバイダ | 公式サイトで「v6プラス」「IPv6オプション」の記載 | 対応していればOK |
| ルーター | 本体や設定画面に「IPv6対応」の表記 | 対応していればOK |
| 実際の通信 | 確認サイトで接続方式をチェック | IPv6で接続中ならOK |
まとめ
IPv6(IPoE)を使うためには、
- プロバイダがIPv6に対応していること
- ルーターがIPv6 IPoE対応であること
この2つがそろえばOKです。
設定を見直すだけで速度が改善するケースも多いので、
まずはこのチェックをしてみましょう!
次の章では、「IPv6にしたのに速くならないときの原因と対処法」を解説します。
せっかく切り替えたのに思うような速度が出ないとき、どこを見直せばよいかを紹介します。
6. IPv6にしても速くならないときのチェックポイント

「IPv6(IPoE)にしたのに、あまり速くなっていない気がする…」
――そんなときは、いくつかのポイントを見直してみましょう。
IPv6は基本的に“混雑しにくい新しい道”ですが、設定や環境のどこかに問題があると、
本来のスピードを出せないことがあります。
6-1. ルーターがIPv6モードで動いているか
まず確認したいのが、ルーターの設定です。
IPv6対応ルーターを使っていても、設定がIPv4のままになっていることがあります。
ルーターの設定画面を開き、「IPv6接続が有効」「IPoEで接続中」と表示されているか確認しましょう。
もし「PPPoE接続中」となっていたら、古い方式のままです。
プロバイダの会員ページやサポートサイトにある「IPv6設定ガイド」を参考に、
IPoE接続が有効になるよう再設定してみましょう。
6-2. サイト側がIPv6に対応していない
IPv6に切り替えても、アクセス先のサイトがIPv4専用だと、
「IPv4 over IPv6」という仕組みで通信します。
これは、IPv4のデータをIPv6の道路にのせて運ぶ方法で、
速度は落ちにくいものの、完全なIPv6通信よりは少し遅く感じる場合があります。
とくに古い企業サイトや一部のゲーム・アプリはIPv4通信が多いので、
すべての通信が速くなるわけではない点も覚えておきましょう。
2025年の今でも、すべてのサイトがIPv6に対応しているわけではありません。
一部の古いサーバーや企業サイトは、IPv4でしかアクセスできない場合があります。
ただし、現在のIPoE方式では「IPv4 over IPv6」という仕組みで、
そうしたサイトも問題なく見られるようになっています。
つまり、IPv6対応環境でも心配はいりません。
6-3. Wi-Fiの電波が弱くなっていないか
IPv6でも、Wi-Fiの電波が弱ければ通信は遅く感じます。
ルーターから遠かったり、壁・家具などが多い部屋では電波が届きにくくなります。
対策としては、
- ルーターを部屋の中央や高い位置に置く
- 中継機を使って電波を補強する
- 2.4GHz帯よりも5GHz帯のWi-Fiを使う
などが効果的です。
まとめ:速くならない原因は「設定・環境・サイト側」にあり
IPv6(IPoE)に切り替えても速くならない場合は、
- ルーター設定の確認
- サイトがIPv6対応か
- Wi-Fi電波の状態
この3つを順番に見直してみましょう。
ほんの一箇所直すだけで、体感速度がぐっと上がることもあります。
7. まとめ:IPv6(IPoE)の仕組みを知ると、遅さの原因が見えてくる

ここまで読んで、「なぜ夜になるとネットが遅くなるのか」が少し見えてきたのではないでしょうか。
実は、通信の速さを決めるのは「回線の種類」だけではありません。
PPPoEとIPoEという“通り道の違い”が、大きく関わっています。
PPPoEはみんなで同じ料金所を通る“旧式の道”、
IPoEは料金所を通らない“新しいバイパス道路”。
この仕組みの違いこそが、IPv6(IPoE)が速い理由なんです。
この記事のポイントおさらい
- PPPoEとIPoEは、インターネットの「通り道(接続方式)」の違い
- PPPoEは混雑しやすく、夜に速度が落ちやすい
- IPoEは料金所を通らない仕組みで、混雑を回避できる
- IPv6は新しい住所のルールで、IPoEとの相性が良い
- IPv4のサイトも「IPv4 over IPv6」で問題なく見られる
次にできること
もし「夜だけ遅い」「動画が止まる」と感じているなら、
まずは プロバイダやルーターがIPv6 IPoEに対応しているかを確認してみましょう。
設定を変えるだけで、びっくりするほど快適になるケースもあります。
そして、実際にVDSL回線で起きている“混雑の正体”や、
すぐにできる改善策を知りたい方は、ぜひこちらもご覧ください

この記事で学んだ「IPv6(IPoE)」の仕組みが、
親記事の「なぜ遅いのか」「どう直せばいいのか」を理解する大きな助けになります。
IPv6(IPoE)の違いを知ることは、
“ネットが速くなる理由”を正しく理解する第一歩です。
仕組みを知れば、自分の回線をもっと上手に使いこなせます。

