LANケーブル規格を図で理解!CAT5〜CAT8の違いと選び方をやさしく解説
「ネットが遅い…」そう感じたとき、原因は回線だけではありません。
実は、家の中で使っているLANケーブルの規格によっても速度が大きく変わります。
この記事では、CAT5からCAT8までの違いをやさしく解説。
「自分のケーブルが古いのか?」を判断できるようになります。
仕組みを理解しておくと、VDSLのような回線の見直しにも役立ちます。

1. LANケーブル規格とは?(仕組みと基本)

1-1. 規格=通信速度と帯域幅を表す「カテゴリー」

LANケーブルの「CAT(キャット)」という言葉は、“カテゴリー”の略です。
これは、ケーブルがどれくらい速い通信を流せるかを表す“等級(とうきゅう)”のようなもの。
たとえば、「CAT5」より「CAT6」のほうが新しくて、より速いデータを流すことができます。
たとえるなら、道路の車線の広さみたいなものです。
古いケーブル(CAT5)は細い道なので、車(データ)が混みやすく、
新しいケーブル(CAT6Aなど)は広い道だからスイスイ進める、というイメージです。
つまり、“数字が大きいほど速い通信に向いている”ということです。
1-2. ケーブルの中身(銅線の構造・シールド)で性能が変わる
LANケーブルの中には、細い銅線(どうせん)が何本も入っています。
この銅線が電気のように信号を流し、パソコンやルーターへデータを送ります。
しかし、この信号は「ノイズ」という電気の邪魔が入ると、スピードが落ちたり途切れたりします。
そのため、新しいケーブルほど中の銅線をねじったり、金属でおおって守ったりして、
ノイズに強いつくりになっています。
これを「シールド付きケーブル」と呼びます。
中身の構造も、通信の安定さを決める大事なポイントなんです。
まとめ
LANケーブルには「CAT5」や「CAT6」といった“通信の速さのランク”があります。
数字が大きいほど速くて安定しており、内部の作りも工夫されています。
つまり、古いケーブルを使っていると“通信道路”がせまいままということ。
次の章では、このランク(CAT5〜CAT8)の違いを、表と図で見ていきましょう。
2. CAT5〜CAT8の違いを一覧で比較

2-1. 主要規格の比較表(速度・帯域・距離)

LANケーブルには、CAT5・CAT5e・CAT6・CAT6A・CAT7・CAT8といった種類があります。
この数字が大きくなるほど、「速く」「遠くまで」「安定して」通信できるようになります。
| 規格名 | 最大速度 | 対応距離 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| CAT5 | 100Mbps | 約100m | かなり古い。今はほぼ使われていない |
| CAT5e | 1Gbps | 約100m | 古い規格。ギガビット通信まで対応 |
| CAT6 | 1Gbps | 約100m | 現在の家庭用標準。短距離なら10Gbpsも可 |
| CAT6A | 10Gbps | 約100m | ノイズに強く、10Gbpsを安定して伝送 |
| CAT7 | 10Gbps | 約100m | シールド強化。企業・オフィス向け |
| CAT8 | 25〜40Gbps | 約30m | 高速だが短距離限定。サーバー用 |
たとえるなら、
CAT5は「1車線の道路」、CAT6Aは「8車線の高速道路」、CAT8は「新幹線の線路」です。
つまり、数字が上がるほど“データが通る道が広くて速い”ということですね。
Q. CAT6とCAT6Aはどこが違うの?
A. CAT6は10Gbps対応ですが、55mまでが限界。CAT6Aは100mでも安定して10Gbps通信できます。
Q. CAT8だけ距離が短いのはなぜ?
A. CAT8は高周波で超高速通信を行うため、信号が減衰しやすく30m以内に制限されています。
家庭で使うなら、CAT6またはCAT6Aでじゅうぶん速いです。
2-2. 家庭用に向く規格/業務用に向く規格
家庭で動画を見たり、オンライン会議をしたりする程度なら、
「CAT6」か「CAT6A」でまったく問題ありません。
これだけで1Gbps〜10Gbpsまでの速さに対応できるので、
VDSLや光回線を使っている人にもぴったりです。
一方で、「CAT7」や「CAT8」は会社やサーバーなどの専門環境で使うことが多いです。
家庭に使うと“もったいない”くらいの性能で、値段も高めになります。
家ではCAT6・CAT6A、仕事場や大規模ネットワークではCAT7・CAT8が目安です。
まとめ
LANケーブルは、数字が上がるほど通信が速く、ノイズにも強くなります。
ただし、家庭で必要なのは「ちょうどよい速さ」でOK。
つまり、CAT6やCAT6Aを選べば安心して長く使えるということです。
次の章では、「古いLANケーブルをそのまま使うとどうなるか?」を見ていきましょう。
3. 古いLANケーブルを使うとどうなる?

3-1. 速度が頭打ちになる理由

「せっかく光回線にしたのに、あまり速くならない…」
そんなとき、原因が古いLANケーブルということがあります。
ケーブルは“データを運ぶ道”のようなもの。
回線が高速でも、ケーブルが古いと細い道のままなんです。
たとえば、CAT5は最大で100Mbpsしか通せないので、
1Gbpsの回線を使ってもスピードは100Mbpsで止まってしまいます。
つまり、古いケーブルは“ボトルネック(せまい出口)”になってしまうのです。
速い回線を生かすには、ケーブルも新しいものに変えることが大切です。
3-2. ケーブルの印字で見分ける方法

「自分のケーブルが古いかどうか、どうやってわかるの?」
――答えはとてもかんたんです。
ケーブルの外側(ゴムの部分)をよく見ると、
「CAT5」「CAT6A」のように文字が印字されています。
これがケーブルの規格です。
もし「CAT5」や「CAT5e」と書いてあれば、かなり古め。
「CAT6」以上なら、今のネット環境でも安心して使えます。
ケーブルが長くて見づらいときは、
一度抜いて明るいところで確認してみましょう。
「CAT5」と書いてあれば買い替えサイン!CAT6Aがいまの標準です。
まとめ
古いLANケーブルを使うと、せっかくの速い回線が十分に働きません。
印字をチェックして、「CAT5」「CAT5e」と書かれていたら交換のチャンス。
ケーブルを変えるだけで、体感速度がグンと上がることもあります。
たとえばCAT5からCAT6Aに変えると、
通信速度が「数十Mbps → 数百Mbps」になることもあります(環境によります)。
ネット動画の読み込みが速くなったり、
オンライン会議で映像が止まりにくくなったりと、体感できるケースも多いです。
次の章では、「じゃあ、どのケーブルを選べばいいの?」をやさしく紹介します。
4. どのLANケーブルを選べばいい?

4-1. 一般家庭なら「CAT6 or CAT6A」で十分
おうちでネットを使う人の多くは、
動画を見たり、オンライン会議をしたり、ゲームをしたりしますよね。
そういった使い方なら、「CAT6」か「CAT6A」で十分です。
この2つは、1Gbps〜10Gbpsまでの速さに対応していて、
「速さ・安定・価格」のバランスがとても良いんです。
とくに「CAT6A」はノイズに強く、長く使える人気の規格です。
たとえるなら、「CAT6」は“車道4車線の道路”、
「CAT6A」は“8車線の高速道路”のようなイメージ。
どちらを選んでも、家庭のネットには“余裕たっぷり”です。
迷ったらCAT6Aを選べば間違いなし!
4-2. CAT7/CAT8は必要?その違いと注意点
「せっかくだし、一番いいやつを買おう!」と思って
CAT7やCAT8を選ぶ人もいます。
でも、実は家庭ではそこまでの速さは必要ないことが多いんです。
CAT7はオフィス向け、CAT8は研究室やサーバー用で、
とても速いかわりにケーブルが太くて取り回しにくく、値段も高め。
しかも、家庭用ルーターやパソコンがそこまでの速さに対応していない場合も多いです。
たとえると、
「近所のスーパーまで行くだけなのに、F1マシンを使う」ようなもの。
すごく速いけれど、使いこなせなければ意味がないんですね。
家庭では“速さよりバランス”。CAT6Aがいちばんおすすめです。
まとめ
LANケーブルは、数字が大きいほど速くなりますが、
家で使うなら「CAT6」か「CAT6A」で十分。
CAT7やCAT8はプロ向けで、家庭ではオーバースペックになりやすいです。
“必要な分だけ速いケーブル”を選ぶのが、いちばんスマートな選び方です。
次の章では、LANケーブル以外にも関係する「回線やルーターの仕組み」について、
ちょっとだけ触れていきましょう。
5. ケーブル以外のボトルネックもある

5-1. 回線方式(VDSL/光配線方式)との関係
ケーブルを新しくしても、「あれ? まだ遅い…」と思うことがあります。
それは、建物の中の配線方式(はいせんほうしき)が原因かもしれません。
たとえばマンションでは、途中まで“光”で速くても、
部屋の中だけ“電話線(VDSL)”でつながっていることがあります。
このVDSLは、昔の方式なので速さに限界があるんです。
たとえるなら、
高速道路から住宅街に入った瞬間に細い道になるようなもの。
途中がどんなに速くても、最後が細いとスピードは落ちてしまいます。
ケーブルの前に、回線方式にも目を向けよう。
5-2. ルーター・ONU・配線方式の基礎もチェック
LANケーブルのほかにも、ネットの速さを決める“部品”があります。
それが「ルーター」や「ONU(光回線終端装置)」です。
これらは、ケーブルで送られてきたデータを分けたり、Wi-Fiに変えたりする装置です。
でも、古いルーターを使っていると、
せっかく速いケーブルをつないでもルーターが追いつかないことがあります。
たとえると、
太い水道管を引いたのに、蛇口が古くて水がちょろちょろしか出ないような状態です。
ケーブルだけでなく、ルーターやONUも“セットで見直す”のが大事なんです。
速くしたいなら「ケーブル+ルーター+回線方式」をトータルで見直そう。
ケーブルを変えても速くならない場合、
・回線方式がVDSLのまま
・ルーターが古い(Wi-Fi 4など)
・PCやゲーム機が1Gbps対応でない
など、別の場所に原因があることも。
詳しくは次の記事をチェック。

まとめ
LANケーブルを変えるのはとても効果的ですが、
回線方式やルーターが古いと、スピードがそこで止まってしまうこともあります。
つまり、ネットの速さは「チームプレー」。
ケーブル・ルーター・回線、どれか1つでも古いと全体が遅くなります。
次の章では、この記事の内容をまとめて、
「今すぐできる見直しポイント」を確認していきましょう。
6. まとめ 〜LANケーブル規格を知れば、速くなる理由がわかる〜

LANケーブルの規格(きかく)は、ネットの速さを決める大切なポイントです。
古いケーブル(CAT5など)を使っていると、
どんなに速い回線にしても、本来のスピードが出ません。
一方で、「CAT6」や「CAT6A」に変えるだけで、
通信が安定して速くなることがあります。
しかも、特別な知識はいりません。ケーブルを交換するだけです。
たとえるなら、古い道を新しい高速道路に変えるようなもの。
データがスイスイ流れるようになると、動画も会議も止まらず快適です。
ここで覚えておきたい3つのチェックポイント
- ケーブルの印字を見て「CAT6以上」か確認する
- 回線方式(VDSL/光)も一度チェックしてみる
- ルーターが古い場合は買い替えも検討する
ネットが遅いとき、「LANケーブルの規格」を見直すだけで改善することがあります。
それでも速度が上がらない場合は、VDSL方式そのものが原因の可能性もあります。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

LANケーブル規格を理解すれば、
あなたの家のネット環境を「速く・安定したもの」に変える第一歩になります。
次は、回線の仕組みを見直して“ほんとうの速度アップ”をめざしましょう!

